ソフトバンクから2018年夏モデルとしてHUAWEI Mate10 Proが発売中です。元々HUAWEI Mate10 Proは、日本でもSIMフリー端末のハイエンド機として販売していました。
反面、大手キャリアではこれまで扱われることはなく、良くも悪くも玄人向けやマニアックな印象の機種でした。それが今回ソフトバンクから販売することで、日本のユーザーにとっても身近な存在になるのではないかと思われます。
このページでは、そんなHUAWEI Mate 10 Proについて見ていき、買う理由と買わない理由という視点から考察していきます。尚、紹介するスペックや評価については、特別な表記がない限りソフトバンク版についてのこととします。
機種 | Xperia 5 V | AQUOS sense8 | TORQUE G06 | Xiaomi 13T |
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本体 | ||||
価格 | 82,800円~ | 39,100円~ | 59,800円~ | 39,790円~ |
特徴 | 高性能チップ搭載 ハイエンドスマホ | コスパに優れた ミドルレンジスマホ | 小型&軽量な 高耐久スマホ | 高性能カメラ搭載 ハイエンドスマホ |
購入 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
HUAWEIブランドを引っ張るハイエンド機
HUAWEI Mate 10 Proは、2017年10月16日にドイツで発表されて以降、ヨーロッパ市場にて好調な売上を記録してきました。HUAWEI曰く、予約数は社内目標だった数字の200%以上を達成したそうです。
HUAWEIは現在、世界のスマホ市場でAppleを抜いてシェア率2位に位置づけています。そして、2022年までにSamsungも抜いて1位を取ることを目標にしています。
そんなHUAWEIにとって、HUAWEI Mate 10 Proは自らの技術を集結させた至極の逸品なわけですが、一体何がすごくて評価されているのでしょうか。まずはスペックから見ていきましょう。
HUAWEI Mate 10 Pro(ソフトバンク版)のスペック
HUAWEI Mate 10 Pro | |
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OS | Android™ 8.0 |
CPU | Kirin 970(オクタコア)2.36GHz+1.8GHz |
サイズ | 約154mm(高さ)× 約75mm(幅)× 約7.9mm(厚さ) |
重さ | 約178g |
ディスプレイ | 約6.0インチ 2,160×1,080ピクセル 有機EL(OLED) |
RAM | 6GB |
ROM | 128GB |
外部メモリカード | 非対応 |
背面カメラ | ダブルレンズ 1,200万画素カラーセンサー + 2,000万画素モノクロセンサー ƒ/1.6 光学手ブレ補正 デュアルLEDフラッシュ 2倍ハイブリッドズーム 像面位相差 + コントラスト + レーザー + デプス AF 4K動画撮影 |
正面カメラ | 800万画素 |
バッテリー容量 | 4,000mAh |
連続通話時間(静止時) |
4G LTE(FDD-LTE):約950分 3G(W-CDMA):約1140分 GSM:約1980分 |
連続待受時間(静止時) | 4G LTE(FDD-LTE):約435時間 4G(AXGP):約426時間 3G(W-CDMA):約522時間 GSM:約585時間 |
充電時間 | 約90分(同梱ACアダプタ) 約180分(USB PD対応ACアダプタ) |
防塵・防水 | IP67 |
おサイフケータイ | 非対応 |
ワンセグ/フルセグ | 非対応 |
ハイレゾ | 対応 |
イヤホンジャック | なし |
生体認証 | 指紋、顔(ソフトウェア更新後) |
通信方法 | 4G LTE(FDD-LTE):700MHz/800MHz/850MHz/900MHz/1.7GHz/1.9GHz/2.1GHz 4G(TDD-LTE):1.9GHz/2.3GHz/2.5GHz 4G(AXGP):2.5GHz 3G(W-CDMA):800MHz/850MHz/900MHz/1.7GHz/1.9GHz/2.1GHz |
最大通信速度(下り) | 400Mbps |
最大通信速度(上り) | 37.5Mbps |
カラー | ミッドナイトブルー / チタニウムグレー |
価格 | 107,520円(税込) |
HUAWEI Mate10 Proを買う理由
それでは、HUAWEI Mate10 Proを買う理由から述べていきます。
世界初のAI搭載スマホ
HUAWEI Mate 10 Proには、CPUとしてHUAWEI独自のKirin 970(オクタコア)というものが採用されています。このKirin 970はAI専用のハードウェアプロセッシングユニットを組み込んでいます。
簡単に言うと、HUAWEI Mate 10 ProはAIを搭載したスマホであり、AIがユーザーの操作特性を学習することで、レスポンス速度や操作性を向上させてくれるのです。このようなスマホは世界初であると言います。
実際にHUAWEI Mate 10 Proを使っていると、確かに心地よい軽快さを感じます。ユーザーがよく使う操作や機能をAIが学習して、スマホをその方向に特化させてくれるからです。
RAMがスマホとしては最高の6GB
AIだけでなく、6GBのRAMも軽快な動作に貢献します。RAMとは、よく作業机に例えられるものです。
作業机は大きいほど、様々なものがおけるなどして作業がはかどりますよね。RAMも同じで、容量が多いほどスマホの動作に余裕ができます。
今のスマホだとRAMの容量は2~6GBであることが多く、HUAWEI Mate 10 Pro の6GBというのはまさに最高の容量です。
MacBook Proのような高価なノートパソコンでも、カスタマイズをしなければ8GBであることが主流です。スマホで6GBというのはかなり贅沢です。逆にこれだけあっても使うのかと、いらない心配までしてしまいそうです。
大容量バッテリーにもAI技術
HUAWEI Mate 10 Proのバッテリー容量は4,000mAhです。これだけでも電池持ちの良さを期待できますが、それに加えてバッテリーにもAIが活かされます
AIがユーザーの操作特性に基づいて無駄な電力消費をカットし、バッテリー状況を最適化してくれます。この省エネ技術によって、ヘビーユーザーで1日以上、平均的なユーザーで約2日間使えるとHUAWEIはアピールしています。
急速充電にも対応しています。
デュアルレンズの高性能カメラ
画像引用元:https://www.softbank.jp/mobile/products/smartphone/huawei-mate10-pro/
HUAWEI Mate 10 Proの背面カメラはデュアルレンズになっています。約1,200万画素のカラーセンサーレンズと、約2,000万画素のモノクロセンサーレンズという組み合わせです。
デュアルレンズによって、被写体の位置や距離をより正確に把握できるようになりました。そのため、一眼レフカメラのような「背景ぼかし」撮影が、手軽に可能となっています。
しかも、HUAWEI Mate 10 Proは「ワイドアパーチャ」という機能により、撮影後にもピント調整をすることができます。例えば複数の人物が映っている場合、誰に焦点を当てたいのか、撮影した後に決めたり変えたりすることができるわけです。
また、約2,000万画素のモノクロセンサーレンズも搭載しているため、カラーセンサーレンズだけで撮影するよりも明暗差のはっきりした写真が撮れます。人間の目は、明暗差に敏感で、これがはっきりした写真をキレイだと認識する傾向があります。
他のスマホのデュアルレンズは、「広角レンズ+望遠レンズ」の組み合わせが多く、モノクロセンサーレンズを搭載しているものは稀です。つまりHUAWEI Mate 10 Proで撮った写真は、それだけでも他のスマホで撮ったものよりキレイだと感じやすいと言えます。
モノクロセンサーレンズだけを使ってモノクロ写真を撮ることも可能です。
さらに、このカメラでもAIが活躍します。AIはあらかじめ1億枚の画像データをインプットしていて、撮影時はそのデータに基づいて被写体やシーンを自動で判別してくれます。
夜景を撮影しようとすれば、AIが「これは夜景の撮影だ」と理解してくれ、それに合わせた適切な設定を自動的に行なってくれるのです。
これらの技術があれば、撮影者に特別な撮影技能は必要ありません。撮影者はただ撮りたいものを撮ろうとすればよいのです。難しいことはAIに任せてしまいましょう。
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文句なしの有機ELディスプレイ
HUAWEI Mate 10 Proはディスプレイも魅力的です。大きさは約6.0インチと十分で、解像度は2160×1080のフルHDと非常にきめ細かいです。
そして、有機ELディスプレイとなっています。有機ELディスプレイは液晶ディスプレイと比べて、バックライトを必要としない分、自然な色合いを出せてかつ省エネです。
iPhone Xでも有機ELディスプレイが採用されるなど、有機ELディスプレイはこれからのハイエンド機には必須の要素となると思われます。HUAWEI Mate 10 Proも素早く採用してきたというわけです。
有機ELディスプレイであることはカメラのモノクロセンサーレンズとも相性が抜群です。有機ELディスプレイは液晶ディスプレイと違って本当の「黒色」を表現できるからです。
これが液晶ディスプレイでしたら、バックライトによって余計な明るさが生まれ、明暗差を得意とするHUAWEI Mate 10 Proのカメラ性能が魅力半減していたところでした。
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防塵・防水
HUAWEI製のスマホは防塵・防水仕様でないものも多いのですが、HUAWEI Mate 10 Proはしっかり防塵・防水仕様としてきました。保護等級はIP67です。
ただIP67というのは最高等級ではありません。防水性能がIP68の機種よりも劣ります。感覚としては、念のための防水というレベルです。
アウトドアですとか水回りでの使用をオススメできるような機種とは違います。IP67というのは長所である一方、もう一声欲しかった部分でもありますね。
参考までに、Galaxy S9はIP68、iPhone XはIP67です。
防塵の等級6というのは最高級
等級 | 種類 | 説明 |
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PI0X | 無保護 |
特に保護されていない。
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IP1X |
50mmより大きい固形物に対する保護
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直径50mmを超える固形物体が内部に侵入しない状態。
例えば手などが誤って内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。 |
IP2X |
12.5mmより大きい固形物に対する保護
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指先、または長さが80mmを超えない指先類似物が内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。
直径12.5mmを超える固形物体が内部に侵入しない。 |
IP3X |
2.5mmより大きい固形物に対する保護
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直径または厚さが2.5mmを超える工具やワイヤなどの固形物体が内部に侵入しない。
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IP4X |
1.0mmより大きい固形物に対する保護
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直径または厚さが1.0mmを超えるワイヤや鋼帯などの固形物体の先端が内部に侵入しない。
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IP5X | 防塵形 |
粉塵が内部に侵入することを防止する。若干の粉塵の侵入があっても正常な運転を阻害しない。
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IP6X | 耐塵形 |
粉塵が内部に侵入しない。
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防水は等級8が最高
等級 | 種類 | 説明 |
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PIX0 | 無保護 |
特に保護されていない。
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IPX1 |
滴下する水に対する保護
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1ミリメートル毎分の水を10分間鉛直落下しても有害な影響を受けない。
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IPX2 |
15°傾斜したとき落下する水に対する保護
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正常な取付位置より15°以内の範囲で傾斜したとき、3ミリメートル毎分の水を各方向から2.5分間ずつ、計10分間鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。
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IPX3 |
噴霧水に対する保護
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鉛直から60°以内の角度で、0.07リットル毎分の水量で10分間噴霧上に落下する水によって有害な影響を受けない。
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IPX4 |
飛沫に対する保護
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いかなる方向から0.07リットル毎分の水量で5分間水が飛沫しても有害な影響を受けない。
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IPX5 |
噴流水に対する保護
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いかなる方向から12.5リットル毎分の水流水を外皮表面積1平方メートルあたり1分間、合計3分間以上直接噴流させても有害な影響を受けない。
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IPX6 |
波浪に対する保護
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波浪またはいかなる方向から100リットル毎分の水流水を外皮表面積1平方メートルあたり1分間、合計3分間以上直接散水しても有害な影響を受けない。
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IPX7 |
水中への浸漬に対する保護
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水深1メートルの水槽に機器を30分間没しても浸水しない。
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IPX8 |
水没に対する保護
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製造者によって規定される条件に従って、連続的に水中に置かれる場合に適する。原則として完全密閉構造。
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HUAWEI Mate 10 Proを買わない理由
それでは次に、HUAWEI Mate 10 Proを買わない理由について述べていきます。
CPUはSnapdragon 845のほうが優秀
HUAWEI Mate 10 ProのCPUは独自のKirin 970であると紹介しました。しかし、実はこれ以上の性能を誇るCPUが存在します。
それは米クアルコム社のSnapdragon 845です。Snapdragon 845こそが現在、Android端末に採用されうるCPUとしては最高のものとなります。
まあとは言え、Kirin 970とSnapdragon 845で具体的に体感できるほどの差があるのかは疑問です。しかし理論上はSnapdragon 845のほうが上であることは知っておいたほうがいいでしょう。
ゲームアプリで頻繁に遊ぶようなヘビーユーザーの方ですと、気になる場面も出てくるかもしれません。ゲームはスペックを求めたらキリがないからこそ、こだわるユーザーならば常に最高スペックのスマホを使いたいものです。
そのため、すでにSnapdragon 845という上の存在があるのにKirin 970のHUAWEI Mate 10 Proを買うのはややためらわれるところです。ちなみにSnapdragon 845は、Galaxy S9やXperia XZ2、AQUOS R2などに搭載されています。
デュアルカメラが「広角レンズ+望遠レンズ」ではない
HUAWEI Mate 10 Proは「カラーセンサーレンズ+モノクロセンサーレンズ」の組み合わせなので、Galaxy S9+やiPhone Xのような「広角レンズ+望遠レンズ」のデュアルカメラではありません。これは長所であり短所でもあります。
広角レンズはよりワイドな写真撮影が、望遠レンズは光学ズームによってある程度の倍率までは画質を下げないズーム撮影が可能です。モノクロセンサーレンズによる明暗差よりもこちらのほうが良いと感じる方もいるでしょう。
HUAWEI P20 Proの存在
画像引用元:https://www.nttdocomo.co.jp/product/smart_phone/hw01k/
HUAWEI P20 Proという最新機種が6月15日から発売しています。このHUAWEI P20 Proは、世界初のトリプルカメラ(カラーセンサーレンズ+モノクロセンサーレンズ+望遠レンズ)を搭載した機種です。
カメラ以外のスペックは、HUAWEI Mate 10 Proをベースに若干の上乗せをしたものとなります。身も蓋もない言い方をすれば、HUAWEI P20 ProはHUAWEI Mate 10 Proの強化版です。
HUAWEI Mate 10 Proのほうが上回っているのはバッテリー容量です。
HUAWEI Mate 10 Pro | HUAWEI P20 Pro | |
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バッテリー容量 | 4,000mAh | 3,900mAh |
これ以外にHUAWEI Mate 10 Proが上回っているものはありません。サイズも似ています。
HUAWEI Mate 10 Pro | HUAWEI P20 Pro | |
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画面サイズ | 約6.0インチ | 約6.1インチ |
本体サイズ | 約154mm(高さ)× 約75mm(幅)× 約7.9mm(厚さ) | 約155mm(高さ)× 約74mm(幅)× 約7.9mm(厚さ) |
重さ | 約178g | 約180g |
値段に関しては、通信会社が違うとは言えHUAWEI P20 Proのほうが安いです。
HUAWEI Mate 10 Pro | HUAWEI P20 Pro | |
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値段 | 税込107,520円(ソフトバンク) | 税込103,680円(ドコモ) |
HUAWEI Mate 10 ProとHUAWEI P20 Proを比べて、どちらも買えるのにあえてHUAWEI Mate 10 Proを選ぶ理由はないというのがスペックを見たときの正直な感想です。取り扱っているキャリアが違うので、そういう場面は少ないかもしれませんが。
単体で評価するなら文句なしに素晴らしい機種
評価としては、HUAWEI Mate 10 Pro自体は大変素晴らしい機種です。購入を強くオススメできます。
しかしながら、同社のHUAWEI P20 Proが発売してしまったことが大きな弱点となります。値段もHUAWEI P20 Proのほうが安いという追い打ちまであります。
ただ、HUAWEI Mate 10 Proには、必ずしもソフトバンクから購入しなくてもよいという特徴があります。SIMフリー端末を買えばいいのです。
HUAWEI Mate 10 ProのSIMフリー版でしたら、ビックカメラ.com にて税込86,173円で購入できます。この値段ならば、安さを理由にHUAWEI Mate 10 Proを選択する余地ができます。
しかもSIMフリーなので、ドコモとソフトバンク・ワイモバイル回線で使えます(KDDIの通信サービスには非対応です)。HUAWEI P20 Proはドコモの独占販売なのでこういった手段は使えません。
また、HUAWEIの社員に訪ねたところ、HUAWEI P20 Proの発売に伴ってHUAWEI Mate 10 Proを値下げする可能性もあるとのことでした。値下げされて、お手頃なハイエンド機となってくれたら嬉しいですね。
トップ画像引用元:https://www.softbank.jp/mobile/products/smartphone/huawei-mate10-pro/