iPhone iPhone X
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iPhone Xが発売してから半年が立ちましたが、その最大の特徴のひとつであるFace ID(顔認証)に今も疑問や不安を抱いている方も多いと聞きます。

このページでは、そんなiPhone Xについて、Face ID(顔認証)のセキュリティを中心に考察・説明をしていきます。

iPhoneデビューや機種変の際の参考になれば幸いです。

iPhone Xで何が変わった?


iPhone Xは日本時間11月3日に販売されたiPhoneシリーズの最新作(執筆時点)で、外見に大きな変化があったことから高い注目を集めました。

歴代iPhoneに付いてきたホームボタンを廃止し、正面のほとんどがディスプレイで覆われているという大胆なモデルチェンジを果たしたのです。これによって、本体サイズが143.6mm×70.9mmなのに対して、ディスプレイは5.8インチという大画面を実現しました。

同時期に発売されたiPhone8 Plusが158.4 mm×78.1 mmでディズプレイサイズが5.5インチなことを考えると、iPhone Xがいかにコンパクトかつ大画面なのか実感できますね。

機種 ディスプレイ 高さ 重量
iPhoneX 5.8インチ

143.6mm

70.9mm

174g
iPhone8 4.7インチ

138.4mm

67.8mm

148g
iPhone8 Plus 5.5インチ

158.4mm

78.1mm

202g

画面は大きくなっただけではなく性能面も大幅に向上しました。ディスプレイには「Super Retina HDディスプレイ」というOLED(有機EL)パネルのものが採用され、解像度は2436×1125ピクセル(458ppi)を誇ります。これによって従来のものより一層の鮮やかさや視野角を実現しました。

iPhone Xの弱点? Touch ID(指紋認証)がない!


大きな進化を遂げたといえるiPhone Xですが、実は購入を躊躇しているiPhoneユーザーも少なくないといいます。

その原因としてよく挙げられるのが、iPhone5sから続いてきたTouch ID(指紋認証)が廃止されてしまったことです。Touch ID(指紋認証)とは、ホームボタンに指を当てて自分の指紋を読み取らせることで、簡単にロック解除などを可能とするものです。

Touch ID(指紋認証)は本当に手軽で便利です。いちいちパスコードを入力する煩わしさから開放され、今ではTouch ID(指紋認証)のない操作は考えられなくなってしまったユーザーが少なくありません。

しかしiPhone XはこのTouch ID(指紋認証)を廃止してしまいました。ホームボタンを廃止したのですから仕方ないのでしょうね。

Face ID(顔認証)はTouch ID(指紋認証)の代わりとなるか?


Touch ID(指紋認証)が廃止された代わりに、iPhone XにはFace ID(顔認証)という新しい機能が付きました。持ち主の指紋ではなく、顔を認識することでロック解除等を行えるというものです。

ただこのFace ID(顔認証)、まだまだiPhoneユーザーに完全に受け入れられているわけではありません。なんとなくTouch ID(指紋認証)より面倒くさそうだと感じるユーザーが多いのです。

確かにTouch ID(指紋認証)ならiPhoneを見ずとも素早く作動させられますし、暗闇の中でも問題ありません。

一方、Face ID(顔認証)は夜道や暗い部屋では作動しないことがどうしてもあります。また、iPhoneと顔を向かい合わせなければ作動しないというのも、若干ですが煩わしさを感じます。

Touch ID(指紋認証)が素晴らしすぎるために、Face ID(顔認証)は便利さより不便さの方に目が向いてしまうのは致し方ないのかもしれませんね。

Face ID(顔認証)のセキュリティは大丈夫なの?


ここまでTouch ID(指紋認証)の素晴らしさを再認識する内容となってしまいましたが、そうはいってもやはりiPhone Xの魅力は大きいです。

Touch ID(指紋認証)がなくてもiPhone Xを使いたいユーザーはたくさんいますし、Apple Storeなどで実機を触ってみたら多くの人がそう感じるのではないでしょうか。

Face ID(顔認証)もTouch ID(指紋認証)と比べて不便な点もあるだけで、わざわざ比較をしなければ十分に便利なものです。認証スピートも実は驚くほど早いですし、Touch ID(指紋認証)よりも使いやすいという意見もあります。

最初は戸惑っても1ヶ月もしないうちに慣れてしまうユーザーがほとんどではないのでしょうか。

ただ、実際に使うとなると便利か否かだけでなく、もうひとつ気になる点が出てきます。それはずばり、セキュリティ面です。

Face ID(顔認証)はどこまで正しく持ち主か否かを判断してくれるのか。顔の似ている兄弟や他人のそら似、写真等など、持ち主以外でも解除できてしまうことはないのか。また、持ち主の顔であっても、寝ているときに他人に勝手に解除されないかも心配です。

そうなってしまっては大変です。メールや写真といったプライベートなことはもちろん、クレジット情報や仕事の極秘事項のような絶対に漏れてはいけないものまであっさりと漏れてしまうことになりかねません。

果たして、Face ID(顔認証)のセキュリティはどうなっているのか。まだ慣れない技術だけに非常に気になるところです。

公式では安全を強調

Apple Storeの公式サイトには、

「写真やマスクを使ったなりすましから守れるように設計しました。あなたのFace IDの情報はSecure Enclaveによって暗号化されて保護されます。データがデバイスを離れたり、iCloudやそのほかの場所にバックアップされることはないので、あなたのプライバシーはしっかりと守られます。」

セキュリティの高さが強調されています。
引用:iPhone X – Apple(日本)

Appleは十分に安全性を考慮して開発したようですね。

とはいえAppleも完全無欠とは限りません。実はすでに、Face ID(顔認証)を騙して突破してしまった事例が各地で報告されているのです。

本人の顔を模したマスクで解除!?

ベトナムのセキュリティ会社Bkavが行った実験によりますと、本人の顔データを元に3Dプリンタを使って作られたマスクで、Face ID(顔認証)を騙すことに成功したようです。

こちらが実際の動画です。

公式ではマスクによる成りすましも防げるとのことだったのですが、防ぎきれなかったわけです。

ただ、これだけでFace ID(顔認証)のセキュリティを脆弱とするのは早計です。なぜなら、そのマスクは制作に5日も要した、あまりに精巧なものだからです。

それは、本人の多大な協力があった初めて作成できたものだといいます。

さらにいえば、マスクを作成したのはセキュリティの専門家たちです。裏を返せばセキュリティを突破する知識にも精通するプロです。

そういった集団がFace ID(顔認証)を騙すため大掛かりな実験を行っても5日もかかったというのは、かえってFace ID(顔認証)の強固さを物語っているといえるかもしれません。

悪事を目的として、本人に気づかれずに精巧なマスクを作成することは、事実上不可能ですね。

ベトナムのセキュリティ会社Bkavの実験については、以下の記事により詳細が書かれています。参考元としてリンクを張りますので、興味のある方は目を通して見て下さい。

参考:「ニセの顔」でiPhone XのFace ID陥落。ただし本人を精巧に模した力作マスク使用、製作日数5日 – Engadget 日本版

双子のケース


マスクでの突破は現実的ではないことがわかりました。それでは、人工のマスクではなく、双子のような元々そっくりな場合はどうなるのでしょうか。

Appleは、他人がiPhone Xに顔を向けてFace ID(顔認証)のロックを解除してしまう確率は100万分の1に過ぎないといいます。ただしこれは無作為に選ばれた人物が解除できる可能性であり、一卵性双生児のように顔が瓜二つの場合は、やはりそういうわけにはいかないようです。

双子にFace ID(顔認証)を突破されたという事例は各地で複数挙がっています。瓜二つのそっくりさんを見分けるまでの性能はまだ備わっていないわけですね。

ただ双子であっても二卵性双生児など、比較的似ていない双子の場合は区別可能とのことでした。

兄弟で解除できてしまった例も


双子でも二卵性双生児ならば識別できると聞いて感心したばかりですが、中には一卵性双生児の双子どころか、ただの兄弟であってもFace ID(顔認証)を突破できてしまった例もあります。

こちらがその実際の動画です。

動画に出てくる二人の男性は4歳離れた兄弟です。顔を見ても、特別似ているとは言い難いですね。まあ普通の兄弟といった感じです。

こういうケースもあるので過信は禁物かもしれません。

参考:iPhone XのFace IDが双子でない兄弟の識別に失敗? – iPhone Mania

親子で解除できてしまった例も


なんと兄弟どころか、親子で解除できてしまった例も挙がっています。紹介するのはニューヨークで起こった事例です。

10歳の少年が、母親のiPhone Xのロックを偶然にも解除できてしまいました。

こちらが実際の動画です。

見てわかるように、子供がいとも簡単に母親のiPhone Xのロックを解除しています。親子なので顔は似ているといえば似ていますが、瓜二つとは到底いえません。なにせ上の兄弟のケースと違って、性別も違えば年齢もさらに離れているのですから。

なぜこのようなことが起こるのか。詳しいことはわかっておりません。

知らない間に、子供に見られたくないメールを見られてしまった、というような事態が身近に起こってしまう可能性もゼロではないわけです。

参考:iPhone Xの「Face ID」が、10歳の少年に破られた──母親の顔認証がロック解除された“事件”の真相|WIRED.jp

一連の事態に対するAppleの反応

さて、双子や兄弟、親子でもFace ID(顔認証)を突破できてしまったことに対して、Appleは何か声明を出しているのでしょうか。

このことについては、Appleのサポートページにて記載されています。

曰く「双子や似ている兄弟姉妹、または 13 歳未満の子供については顔の特徴も成長途上にあるため、統計的な確率が違ってきます。この点について懸念される場合は、パスコード認証をご利用になることをおすすめします。」とのことです。

引用:先進の Face ID テクノロジーについて – Apple サポート

やはりまだまだ完全無欠とはいえず、Appleもそれを認めています。本当に心配な場合は、サポートページにあるようにパスコート認証を利用するのが一番というわけです。

本人の顔が意図せず悪用されてしまう可能性は?


これまでは他人の顔でロック解除されてしまう可能性について見てきました。

ここからは、本人の顔写真が知らない間に悪用されてしまう可能性について探っていきます。

本人の顔写真で解除されてしまうことはありえるか?

Appleは「写真やマスクを使ったなりすましから守れるように設計しました。」というものの、本当なのかどうか気になるところです。

仮に本人が写っている写真でもロック解除できてしまったとしたら、事態は兄弟や親子よりずっと深刻です。これまで紹介してきた例は、他人とはいえ血の繋がった者による場合であり、悪用される危険性は現実的には比較的低いものでした。

しかし写真となると、誰でも簡単に用意できてしまいます。どうなのでしょうか。

写真ではFace ID(顔認証)反応せず!

写真で実験した報告もすでに数多くありますが、写真でロック解除できたという例は見られませんでした。

それもそのはず、Face ID(顔認証)は「最先端の TrueDepth カメラシステムと、顔の形状を正確に読み取る先進の技術があってこそ成り立つ」高度なものだからです。

「Face ID は、出力紙や 2D のデジタル写真には映らない深度の情報に照らして認証します。」ともAppleサポートページに記載されています。
引用:先進の Face ID テクノロジーについて – Apple サポート

顔の凹凸もしっかり情報として収集しているので、平面の写真では突破できないわけです。これは嬉しいですね。安心できます。

本人の寝顔で突破することはできるか?


さて次に考えるケースは、本人が寝ているときに勝手にiPhone Xを顔に映されたときです。特に、家族や恋人に内緒にしておきたいものがある方にとっては、これも相当気になるものですよね。

これも写真のケースと同様、多くのユーザーが試みていますが、寝顔でロック解除することは不可能という報告ばかりでした。

Appleサポートページによりますと「Face ID には画面注視認識機能もあります。目が開いていて、意識してデバイスを見ているかを認識します。

つまり、あなたの知らないうちに (寝ている間などに)、だれかが iPhone のロックを無断で解除することは困難です。」とのことです。
引用:先進の Face ID テクノロジーについて – Apple サポート

さすが、よく考えられていますね。

総合的に考えて安心できるセキュリティ


さて、ここまで様々なケースを見てきました。

セキュリティ会社の作成した極めて精巧なマスクや、双子、兄弟、親子等など、残念ながらFace ID(顔認証)を突破できてしまったケースもあります。

ただしこれらはあくまで例外的なケースであり、Face ID(顔認証)が完璧でないことは示していても、セキュリティに問題があるとまではいえないものです。

むしろ、写真や寝顔といった現実的な危険についてはしっかり対策がされており、心強いものでありました。

Touch ID(指紋認証)よりセキュリティ性は高いかも

むしろ評判の高いTouch ID(指紋認証)よりセキュリティ性は優れているかもしれません。

Touch ID(指紋認証)については、写真から指紋を抜き取られて突破されるリスクが国立情報学研究所によって指摘されていました。

また、寝ている最中に勝手に指をホームボタンに押し付けられることも考えられます。

その点、Face ID(顔認証)は写真と寝ている最中について明確に対策されている分、安全性は高いといえそうですね。

本人がロック解除したいのにできないことも


ここからはセキュリティの話はいったんおいて、逆にロック解除したいときにできるのか気になるケースについて紹介します。

本人がマスクを付けていた場合


風邪や花粉症の人にとってマスクは必需品です。外したくとも外せないという方は大勢いるでしょう。そこで気になるのは、マスクをしていてもFace ID(顔認証)はしっかり本人だと認識してくれるのかです。

マスクをつけた場合については、残念ながらロック解除できないという報告が多数あります。単純に顔を隠しすぎということなのでしょうね。

ただマスクを付けたままパスコードを何度も解除していれば、iPhone Xがマスク顔も本人だと学習して認識してくれるようになったという報告もあります。

現状では一概にはいえないのですが、購入する際は、あらかじめロック解除できない場合も想定していたほうがよさそうですね。

本人がメガネをかけていた場合


メガネは人によっては毎日かけなくてはいけないものです。メガネをかけていては認識してくれない、となったら大変ですよね。

こちらは嬉しいことに、しっかり本人だと認識してロック解除してくれます。

メガネをかけている方は心配無用です。

本人がサングラスをかけている場合


メガネは大丈夫でも、サングラスはどうでしょうか。顔を隠すという意味ではマスクに近いものですが、果たして結果は。

こちらも大抵のサングラスであれば問題なく認識してくれます。すごいですね。

まとめ

Face ID(顔認証)には一部例外はあるものの、かなりのセキュリティ性を誇っているといえそうです。そのための技術が相当優れています。

便利さではまだTouch ID(指紋認証)に軍配が上がるケースも少なくないかもしれませんが、いずれも慣れていける範囲のものではないでしょうか。

またFace ID(顔認証)は使用を重ねることで学習していく機能があります。

iPhone Xだけでなく、これからの機種にもFace ID(顔認証)が搭載されていくはずですし、そのさらなる進化にも期待ですね。

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