格安SIMの人気が高まるにつれ、デュアルSIMのメリットを活かせるDSDS機に注目が集まっています。DSDSに対応した端末は海外スマホに多くみられますが、国内で使えるかどうかも気になるところです。この記事では、HUAWEI Mate 20シリーズのDSDS機について国内で使えるかどうかと、注意したいポイントなどについても解説します。
そもそもDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)とは?
DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)とは同時待ち受けのこと
DSDSと聞くと人気の高いゲーム機のことを思い出しますが、スマホのDSDSとは関係ありません。ゲーム機のDSはDual Screenのことですが、スマホのDSDSはデュアルSIM+デュアルスタンバイのことで、同時待ち受けできるデュアルSIMを指しています。
まずはDSDSをきちんと理解するために、デュアルSIMとデュアルスタンバイについてそれぞれみていきましょう。
デュアルSIMはSIMを2枚挿せる
国内ではシングルSIMが主流だった
これまでスマホの世界では、ドコモ・au・ソフトバンクの三大キャリアが圧倒的シェアを占めていました。つまりスマホを使っている人の多くが三大キャリアのユーザーであるということです。
三大キャリアで入手できるスマホ端末の多くはシングルSIMで、端末にSIMスロットが1個しかない機種がほとんどです。したがって、大手キャリアの端末を使い続けてきたという方はデュアルSIMになじみがなく、SIMが2枚挿せることの意味がよく分からないという声も聞かれます。
デュアルSIMでスマホがもっと便利に
SIMカードとは、加入者を特定するためのID番号が記録されたICカードのことで、モバイル端末でインターネットや音声通話を行うために必要なものです。
SIMカードを2枚使用するデュアルSIMでは、1台の端末を2台のように使うことができるため、電話番号が違う端末を2台持たなくてもデュアルSIM対応の端末1台で両方の電場番号が使えるようになる理屈です。ただし、デュアルSIMで同時に待ち受けするためには、もうひとつ条件が必要となります。
デュアルSIMでもデュアルスタンバイできるとは限らない
デュアルSIM端末であってもスタンバイには以下のように3つの方式がありますが、シングルスタンバイ方式だとデュアルSIMであってもほとんど意味をなしません。
シングルスタンバイ(DSSS・デュアルSIMシングルスタンバイ)
これまで日本で主に流通してきたスタンバイ方式です。2枚のSIMを手動で切り替えて使うため、使っていないSIMについては、画面に表示されるアンテナに✕マークが付き、2枚SIMがあっても音声通話・データ通信とも同時使用はできません。
またSIMの切り替えに手間がかかるところも面倒です。なお、片方の音声通話をIP電話サービスに転送すれば、同時待ち受けできるようにはなります。
デュアルスタンバイ(DSDS・デュアルSIMデュアルスタンバイ)
2枚のSIMで同時に待ち受けができるスタンバイ方式です。たとえば、片方のSIMでインターネットしているときでも、もう一方のSIMで電話を着信して通話することができますが、同時通信はできません。
音声通話で一方を利用しているときは他方の電話は圏外となり、データ通信の同時利用もできなくなるからです。さらに端末価格が高めで、同時待ち受けによるバッテリー消耗もデメリットです。
デュアルアクティブ(DSDA・デュアルSIMデュアルアクティブ)
2つのSIMスロットが排他仕様になっていないため、2枚のSIMを同時に使用することができるものです。たとえば片方のSIMでデータ通信を行っている最中に、もう片方のSIMで電話着信した場合でもデータ通信がとぎれることはありません。
つまりスマホやケータイを2台持ちしているときとほぼ同じ状態で利用できるというわけです。ただし、現在のところデュアルアクティブに対応する機種は国内に出回っていません。
デュアルスタンバイできてこそのデュアルSIM
端末にSIMカードを2枚挿せるデュアルSIMであっても、デュアルスタンバイの利用には必要な条件があるのです。日本でデュアルスタンバイを利用するために必要な条件とは、端末が3Gまたは4Gを同時に待ち受けできることです。
スマホやケータイの電波にはLTE回線・3G回線・2G回線がありますが、日本国内で2Gは廃止となっています。つまり、デュアルSIMスロットが搭載された端末であっても、片方のSIMスロットが2G電波対応であれば国内では役に立たず、実際にはシングルスタンバイと変わらないことになってしまうのです。
したがってデュアルSIM対応の端末を購入するときには、両方のSIMスロットがLTE回線や3G回線に対応している必要があります。けれども今のところ、多くのデュアルSIMスマホでは片方に3G回線またはLTE回線のSIMを挿すと、もう片方は2GのSIMしか使えないようになっているため、注意が必要です。
格安SIMの台頭でDSDSが注目されるように
格安SIM を提供しているMVNOの台頭で、大手キャリアのどこか1社だけと契約するスタイル以外の通信契約やスマホの利用方法が認識され始めたため、ひとつの端末で2つのSIMが利用できるデュアルSIMデュアルスタンバイが注目されるようになりました。
デュアルSIMデュアルスタンバイを活用することで、回線を切り替えて通信料金を安く抑えたり、1台の端末で電話番号を使い分けたりというようなことが可能となり、ユーザーの利便性や経済性をさらに高められるようになってきたのです。
実際に「大手キャリアのSIMで音声通話用・格安SIMでデータ通信」「国内用と海外旅行用」「仕事用と私用」などのように、賢くSIMを使い分けている方が増えています。
同時待ち受け可能な端末はまだ少ない
海外でデュアルスタンバイ可能なデュアルSIM搭載の端末が主流となっている理由は、インフラの問題にあります。日本では早期に2Gから3Gへ移行しましたが、海外ではまだ2Gの地域がたくさんあるため、両方の帯域に対応できる端末が必要だからです。
また、回線契約と端末をセットで購入することが主流だった日本の場合、ユーザーは複数の通信会社と同時に契約することなど想定外でした。そのため、端末のSIMカードスロットは1台に1つあれば充分で、国内では同時待ち受けできる端末がまだ少ない状況が続いています。
海外販売のDSDS対応スマホで電波法違反に?
海外ではDSDS対応のスマホが主流ですが、日本国内で販売されていないスマホを国内で使う場合、電波法違反に注意しなければなりません。国内で使用するスマホなどの無線機器は、技術基準適合証明と技術基準適合認定の両方を取得している必要があり、それを証明するのが「技適マーク」です。
けれども海外で販売されているスマホにはこの「技適マーク」がついていないものもあり、「技適マーク」がない端末を日本国内で利用した場合、電波法違反となってしまうのです。
「技適マーク」の有無を確認するには、端末のパッケージや本体のバッテリー取り付け部分をチェックします。なお、「技適マーク」の有無が問われるのは国内で使用する場合のみで、海外で「技適マーク」のない端末を利用してもなんら問題はありません。
HUAWEI Mate 20シリーズはDSDSに対応できる?
国内ではまだデュアルスタンバイ対応機種はそう多くありませんが、海外スマホにおいてはデュアルスタンバイに対応した機種が数多く存在しています。
HUAWEI Mate 20シリーズのスペック
人気の高いHUAWEIのフラグシップモデルはMateシリーズですが、最新版は「HUAWEI Mate 20シリーズ」です。ここでは「HUAWEI Mate 20 Pro」と「HUAWEI Mate 20 lite」のスペックをみておきましょう。
モデル名 | HUAWEI Mate 20 Pro | HUAWEI Mate 20 lite |
スロット | SIMフリー(nanoSIMx2 2ndSIMはNMカードと排他利用)
※ソフトバンク版はシングルSIM |
SIMフリー(nanoSIMx2 2ndSIMはmicroSDカードと排他利用の予想) |
デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS) | デュアルSIMデュアルVoLTE(DSDV) | |
価格 | 11万円台 | 4万円台 |
発売時のOS | Android 9.0、EMUI(Emotion UI) 9.0 | Android 8.1、EMUI 8.2 |
CPU(プロセッサー) | Kirin 980 オクタコア (2x2.6GHz+2x1.92GHz+4x1.8GHz+デュアルNPU) | Kirin 710 オクタコア (4x2.2GHz A73+4x1.7GHz A53) |
GPU Turbo | ○ | |
外部メモリー | NMカード(256GB) | microSDXCカード(256GB) |
ストレージ | 128GB | 64GB |
RAM | 6GB | 4GB |
バッテリー容量 | 4200mAh | 3750mAh |
対応充電 | HUAWEI スーパーチャージ(最大40W)、USB PD、ワイヤレス充電(15W)、リバースチャージ | 9V/2A Charger |
防水・防塵機能 | IPX8、IP6X(IP68) | |
セキュリティ(生体認証) | 指紋認証センサー(ディスプレイ内に設置)、顔認証(赤外線、3D深度測定) | 指紋認証センサー(背面に設置)、顔認証 |
モニター/画面解像度 | 6.39インチ、2K・QHD+(3120×1440ドット)、538ppi、比率19.5:9、画面占有率86.9% | 6.3インチ、フルHD+(2340×1080ドット)、409ppi、比率19.5:9 |
液晶パネル | 有機EL OLED、DCI-P3、3Dガラスのエッジディスプレイ | TFT(IPS)液晶モニター、1670万色 |
HDR動画再生対応 | ○ | |
Wi-Fi | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac | |
対応バンド | LTE: 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 12 / 17 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28 / 32 / 34 / 38 / 39 / 40 / 41
W-CDMA: 1 / 2 / 4 / 5 / 6 / 8 / 19 |
LTE: 1 / 3 / 5 / 7 / 8 / 18 / 19 / 28 / 38 / 40 / 41
W-CDMA: 1 / 5 / 6 / 8 / 19 |
NFC(おサイフケータイ/FeliCa) | ○(おサイフケータイ/FeliCaは非対応) | |
Bluetooth | ○(5.0、aptX HD、LDAC、HWA) | ○(4.2、aptX HD、HWA) |
GPS | ○ | |
画素数(背面/アウトカメラ) | 4000万画素 1/1.7型 27mm F1.8(広角)+2000万画素 16mm F2.2(超広角)+800万画素 80mm F2.4(望遠) | 2000万画素+200万画素(深度測定用) F1.8 |
ライカブランドのレンズ | VARIO-SUMMILUX-H 16-80mm F1.8-2.4 ASPH. | |
動画/スローモーション | 未確認 | 16倍ハイスピード動画、480fps |
画素数(正面/インカメラ) | 2400万画素 F2.0 | 2400万画素+200万画素(深度測定用) F2.0 |
コネクター | USB Type-C | |
ヘッドホンジャック | なし(USB Type-Cの変換アダプタで対応可) | ○ |
ハイレゾ | FLACは対応 | |
各種センサー | 加速度、コンパス、ジャイロ、環境光、近接、HALL、気圧、赤外線リモコン、レーザー | 加速度、コンパス、ジャイロ、環境光、近接 |
その他 | AI手ブレ補正(HUAWEI AIS)、PCモード(ワイヤレス対応)、3Dモデリング(AR)、3Dライブ絵文字、AIシネマモード、AIポートレートカラービデオ、ISO 102400、スーパーHDR、マクロ撮影(25mm) | AIシーン認識(22種類)、AIセルフィー(8種類)、ポートレートモード、ワイドアパーチャ、3D Qmoji、ARレンズ、HDR Pro |
作り | 背面:ガラス、側面:金属フレーム | 背面:ガラス |
幅 | 72.3mm | 75.3mm |
高さ | 157.8mm | 158.3mm |
奥行き | 8.6mm | 7.6mm |
重さ | 189g | 172g |
カラー | ミッドナイトブルー、トワイライト、ブラック(ソフトバンク限定色) | ブラック、サファイアブルー |
HUAWEI Mate 20シリーズはDSDVに対応
画像引用元:HUAWEI Mate 20 Pro,HUAWEI Kirin 980, Leicaトリプルレンズカメラ, AI | HUAWEI Japan
「HUAWEI Mate 20 Pro」と「HUAWEI Mate 20 lite」は、ともにデュアルSIMデュアルVoLTE(DSDV)対応となっています。これまで国内のデュアルSIMデュアルスタンバイ対応スマホでは、2枚目のSIMは3Gでしたが、デュアルSIMデュアルVoLTEでは2枚ともVoLTEに対応しているのです。
VoLTEでは音声通話もデータ通信と同じようにLTE回線で行うため、デュアルSIMデュアルVoLTEなら片方のSIMで通話中にもう一方のSIMを通信利用することができます。
また、これまでのDSDSでは片方のSIMは3G回線を使わざるを得なかったのですが、デュアルSIMデュアルVoLTEなら2枚とも4Gで通信できるため、快適な通信速度を維持できるのです。
つまり、HUAWEI Mate 20シリーズはデュアルSIMデュアルスタンバイを超えたデュアルSIMデュアルVoLTEに対応しているので、デュアルSIMデュアルスタンバイ以上にデュアルSIMのメリットを享受できる端末となっています。
要注意!ソフトバンク版のMate 20 ProはDSDSに非対応
画像引用元:ミニモンスター | モバイル | ソフトバンク
HUAWEI Mate 20 Proはソフトバンクが販売することでも話題となっていますが、どういうわけかソフトバンクから販売されるMate 20 ProはシングルSIMで、デュアルSIMデュアルスタンバイに対応していません。
デュアルSIMデュアルVoLTEを期待してMate 20 Proの購入を検討されている方は、この点にご注意ください。なお、ソフトバンク以外から販売されているMate 20 ProはデュアルSIMデュアルVoLTEに対応しているので、普通にデュアルSIMデュアルスタンバイ機能を利用できます。
国内ではIIJmioやOCNモバイルONEなどの格安SIM販売店(MVNO)のほか、amazonや家電量販店での購入がおすすめです。
HUAWEI Mate 20シリーズのDSDSは国内で使える?
HUAWEI Mate 20シリーズはデュアルスタンバイOK
画像引用元:HUAWEI Mate 20 Pro,HUAWEI Kirin 980, Leicaトリプルレンズカメラ, AI | HUAWEI Japan
海外スマホのDSDS対応機種はほとんど3G・2G対応となっているため日本国内で使えませんでした。けれどもここまでみてきたように、「HUAWEI Mate 20 Pro(ソフトバンク版以外)」と「HUAWEI Mate 20 lite」はDSDSの進化形であるDSDVに対応しているため、日本国内でデュアルスタンバイの使用が可能です。
なお、「HUAWEI Mate 20 Pro」「HUAWEI Mate 20 lite」ともSIMカードスロットはnanoSIM×2仕様となっています。nanoSIMは現在使用されているSIMカードの中で最小サイズとなっているため、これまでmicroSIMや標準SIMを使っていた方の場合、そのままHUAWEI Mate 20 シリーズの端末にSIMカードを差し替えて使い続けることはできないため、SIMサイズの変更手続きが必要となります。
HUAWEI Mate 20シリーズはキャリアのバンドにも対応
デュアルスタンバイのスマホであっても、日本のキャリアが使用しているバンドに対応していなければ使えません。まずはここでキャリアごとのバンドを確認しておきましょう。
4G(LTE) | 3G | |
ドコモ
|
Band1
Band3 Band19 Band28 |
Band1
Band6 Band9 Band19 |
au
|
Band1
Band11 Band18 Band26 Band28 |
BC0
BC6
|
ソフトバンク | Band1
Band3 Band8 Band28 |
Band1
Band8 Band11
|
3GにはW-CDMA(WCDMA)とCDMA2000の2つの規格がありますが、ドコモとソフトバンクはW-CDMA、auはCDMA2000を使用しています。世界的にもW-CDMAが主に使われており、CDMA2000は少数派です。
格安SIM販売店と端末とSIMをセットで購入する場合は、バンドを気にする必要はありません。けれども、端末とSIMを別々に購入する場合や、すでに手持ちのSIMカードを新しい端末に差し替えて使用する場合には、バンドの組み合わせに注意が必要です。
「HUAWEI Mate 20 Pro」「HUAWEI Mate 20 lite」ではDSDV対応となっており、ドコモとソフトバンクのLTEについては全てのバンドが網羅されています。
auについては「HUAWEI Mate 20 Pro」「HUAWEI Mate 20 lite」でBand11が、「HUAWEI Mate 20 lite」でBand26が非対応となっています。auではBand26がプラチナバンドとなっているため、「HUAWEI Mate 20 lite」だと電波が弱い地域では回線が不安定になるかもしれません。
3Gについては、ドコモ回線ではBand1とBand6、ソフトバンクではBand1とBand8が重要ですが、「HUAWEI Mate 20 Pro」「HUAWEI Mate 20 lite」ではどちらのバンドにも対応しています。
外部メモリーを使うとDSDVは使用不可に!
「HUAWEI Mate 20 Pro」にはNMカード(256GB)、「HUAWEI Mate 20 lite」にはmicroSDXCカード(256GB)が使用できますが、SIMスロットにはそれぞれ2枚のカードしか装着できません。
つまりSIMスロットは外部メモリーカードと排他利用になっているため、デュアルSIMを利用したいなら外部メモリーは使用できないことになるという点に注意が必要です。
HUAWEI Mate 20シリーズ のDSDSは国内で使える!
画像引用元:HUAWEI Mate 20 Pro,HUAWEI Kirin 980, Leicaトリプルレンズカメラ, AI | HUAWEI Japan
ここまで「HUAWEI Mate 20シリーズ のDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)は国内で使える?」と題して、「HUAWEI Mate 20 Pro」と「HUAWEI Mate 20 lite」について詳しく解説しました。
DSDVに対応しているHUAWEI Mate 20シリーズなら国内でのデュアルスタンバイが可能、デュアルSIMのメリットを充分に活かすことができるので、あなたのスマホをもっとお得で便利に使えるようになるはずです。