NTTドコモでは、2015年3月27日よりサービスが開始された「PREMIUM 4G」により、当初は受信時最大225Mbpsだった通信速度を段階的に引き上げ、2018年5月には一部エリアに限り受信時最大988Mbpsの通信速度を達成しています。
さらに2018年冬には1Gbpsを超えるサービスを提供する予定となっています。これだけの高速通信が可能となったのは、基地局と端末のアンテナをそれぞれ4本にすることで最大4多重のデータ受信を可能にした「4×4 MIMO」の導入によるところが大きいといえます。
また、一度に伝送するデータ量を従来の1.33倍にする「256QAM」、さらには複数のデータ帯域を束ねてデータ受信を行う「キャリアアグリゲーション」といった技術の導入も大きく貢献しています。
1Gbpsを超えるデータ通信が目前に迫った「PREMIUM 4G」の詳細や、現時点で対応している機種をご紹介していきます。
PREMIUM 4Gについて
画像引用元:ドコモ公式サイト「PREMIUM 4G」
モバイルインターネット利用の快適さをさらに推し進める為にドコモがスタートさせたサービスが「PREMIUM 4G」です。
それまでのLTE方式を採用した高速データ通信サービス「Xi(クロッシィ)」により、2013年には東名阪エリアで受信時最大150Mbpsだった通信速度は5年後の現在、6倍を超えるまでになりました。
最大988Mbpsという通信速度は複数のデータ帯域を組み合わせて実現しています。988Mbpsの内訳は、新しいデータ帯域である3.5GHz帯×2(294Mbps×2)と1.7GHz帯×1(400Mbps)の3CAにより可能となっています。
CAの拡張
「CA」とは「キャリアアグリゲーション」のことで、複数のデータ帯域を束ねて通信を行う技術です。1つのデータ帯域で大量のデータ通信を行うのではなく、複数のデータ帯域でデータ通信を行うことにより、さらなる通信の安定性の実現に成功しました。
ユーザーがモバイルインターネットを行う際の通信環境は常に好条件とは限りません。1つのデータ帯域で通信を行なう場合、その帯域に適さない条件下では通信速度が低下してしまい快適性も失われてしまいます。
データ帯域が複数に別れていれば、一方の帯域で通信速度が確保できない場合には、他の帯域を使用することによって良好な通信状態を確保することが可能となります。
また今回の「3CA」に次ぐ通信速度の、3.5GHz帯×2(294Mbps×2)と1.7GHz帯×1(200Mbps)、2GHz帯×1(150Mbps)の「4CA」では938Mbpsのデータ通信速度を可能としました。
さらに今夏に登場する新しいサービスとして「5CA」が導入されます。3.5GHz帯×2(147Mbps×2)、1.7GHz帯×1(200Mbps)、2GHz帯×1(150Mbps)、800MHz帯×1(150Mbps)により794Mbpsを実現します。
「キャリアアグリゲーション」技術の発達により、ユーザーの通信状況下において最適なデータ帯域を組み合わせることが可能となっています。組み合わせのパターンは14通りあり、ユーザーの快適なインターネット利用を高次元で担保できるようになりました。
MIMOの拡張
「MIMO」とは「Multiple Input Multiple Output」の略で、複数のアンテナでデータの送受信を行う通信技術です。
従来は基地局と端末で各2本アンテナを使用し、通信を行なってきましたが、今回「4×4 MIMO」を導入することにより各4本のアンテナを使用し、通信の高速化が計られています。
通信量の増加(変調多値化)
2018年5月より、東名阪の一部エリアで、従来の変調方式である「64QAM」から新しい変調方式である「256QAM」への対応が開始されました。
「256QAM」はLTEの次世代方式である「LTE-Advanced」で導入された変調方式で、1度に送信できるデータ量が6bitから8bitに増え、受信時におけるデータ通信速度が1.33倍となります。
送信時におけるデータ通信量も増え、従来の「16QAM」から「64QAM」に対応し、最大50Mbpsから最大75Mbpsへとグレードアップしています。今年の冬にはさらに増大し、最大100Mbpsを超える通信速度の実現が予定されています。
モバイルで1Gbpsのデータ通信が目前に
スマートフォンの機能性は年々上昇し、画面サイズが大きくなり、さらに4Kといった高精細動画に対応したディスプレイを備えた機種が登場しています。モバイルでの高精細動画の視聴が一般化されるのに伴い、一度に送ることができるデータ通信の増大が求められています。
「PREMIUM 4G」は今日まで段階的にデータ通信の速度アップを行なってきましたが、間も無く1Gbpsに届くところまで来ています。
現在対応しているエリアは人口の集中している一部地域に限られ、988Mbps/5CAに対応している機種についてはドコモからは6機種発表されましたが、まだまだ1部のハイスペックモデルに限られていますので、多くの人が高速通信サービスを体験できるようになるまでにはもう少し時間が必要となります。
受信時最大988Mbps「5CA」の利用可能機種
現在、受信時最大988Mbpsと5CAに対応した機種としてドコモから発表されているのは「Xperia XZ2 SO-03K」「Xperia XZ2Premium SO-04K」「Galaxy S9 SC-02K」「Galaxy S9+ SC-03K」「AQUOS R2 SH-03K」「HUAWEI P20 Pro HW-01K」の6機種となっています。
各機種の特徴とスペックをご紹介していきます。
Xperia XZ2 SO-03K/Xperia XZ2 Premium SO-04K
【 Xperia XZ2 】
画像引用元:ソニー公式サイト「Xperia XZ2 SO-03K」ギャラリー
【 Xperia XZ2 Premium 】
画像引用元:ソニー公式サイト「Xperia XZ2 Premium SO-04K」ギャラリー
XZ2シリーズとして、これまで「Xperia XZ2」が2018年5月31日に発売が開始され、翌月の6月22日にはコンパクトモデルの「XperiaXZ2 Compact」が発売開始されました。2018年夏にはいよいよXZ2シリーズで最もハイスペックなモデルとして「Xperia XZ2 Premium」が登場します。
XZ2 Premiumではシリーズ初のデュアルカメラ搭載
「Xperia XZ2」はシングルカメラですが、「XZ2 Premium」でシリーズ初となる「デュアルカメラ」が搭載されます。
海外製のハイスペックモデルでは当たり前になってきているデュアルカメラですが、Xperiaシリーズは若干出遅れていた格好となっていました。待望のデュアルカメラの搭載により、背景をぼかしたポートレート撮影も可能となります。
静止画では最高感度ISO51,200、動画では最高感度ISO12,800での撮影が可能で、暗い状況でも色彩豊かな写真を撮ることもできます。
レンズもハイエンド向けの「Gレンズ」を搭載し、モノクロセンサーがF値1.6、カラーセンサーがF値1.8となり、常に明るい写真が撮れる仕様となっています。
スマホ初の「4K HDR」に対応
XZ2 Premiumではスマートフォン初となる4K HDR動画を撮影することも可能です。
4K HDR撮影時のフレームレートは24fpsとなり、ディスプレイは5.8インチと大画面を搭載し、4K(3840×2160)の解像度で動画の再生が可能です、縦横比は他のXZ2シリーズとは異なり16:9となっています。
「Xperia XZ2」のディスプレイサイズは5.7インチとそれほど変わりませんが、解像度はFHD+(2,160×1,080)と「XZ2 Premium」と比べて若干見劣りする程度となっています。
スペック
「Xperia XZ2 SO-03K」と「Xperia XZ2 Premium SO-04K」のスペックは以下の通りです。
Xperia XZ2 SO-03K | Xperia XZ2 Premium SO-04K | |
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サイズ | 約153×72×11.1mm | 約158×80×11.9mm |
質量 | 約198g | 約230g |
ディスプレイ | 5.7インチ 縦横比18:9 FHD+:2,160×1,080 | 5.8インチ 縦横比16:9 4K:3,840×2,160 |
CPU | SDM845 2.8GHz(クアッドコア)+1.8GHz(クアッドコア)オクタコア |
|
バッテリー | 3,060mAh | 3,400mAh |
OS | Android 8.0 | |
外部メモリ | microSD/microSDHC/microSDXC(2GB/32GB/400GB) | |
内蔵メモリ | RAM:4GB ROM:64GB | RAM:6GB ROM:64GB |
メインカメラ | 1,920万画素 | カラーセンサー: 1,920万画素 モノクロセンサー: 1,220万画素 |
フロントカメラ | 500万画素 | 1,320万画素 |
本体代金 | 機種変更: 47,952円(1,998円×24回) 一括払い:94,608円 | 機種変更: 67,392円(2,808円×24回) 一括払い:112,752円 |
Galaxy S9 SC-02K/Galaxy S9+ SC-03K
画像引用元:Galaxy Mobile Japan公式サイト
2018年5月18日に同時に発売が開始されたサムスン電子製の「Galaxy S9 SC-02K」と「Galaxy S9+ SC-03K」ですが、本体サイズの違いもありますが、中でも大きな違いは「Galaxy S9+」にはデュアルカメラが搭載されていることが挙げられます。
現在主流の縦長ディスプレイにステレオスピーカーを搭載
Galaxyシリーズの非常に特徴的なInfinity Displayを2機種とも搭載し、限りなくベゼル(画面の枠)が小さいデザインとなっています。
ディスプレイサイズは「Galaxy S9」が5.8インチ、「Galaxy S9+」が6.2インチと若干差がありますが、縦横比は18.5:9で2機種とも
同じ縦長のディスプレイです。
ディスプレイは有機ELで省エネ性能にも優れ、色鮮やかな表現が可能で、HDR動画にも対応し、ステレオスピーカーも搭載されており、立体音響技術のDolby atmosをサポートし、AKG社のチューニングが施されることにより高音質での視聴が可能となっています。
革新的なカメラ
2機種とも1秒間に960フレームで撮影できるスーパースローモーションに対応しています。周辺環境に合わせてF値1.5とF値2.4を手動、もしくは自動で切り替えることができるので、撮影の難しい暗い環境でも明るくキレイな写真を撮ることが可能です。
CMで話題のフロントカメラで自分の顔を撮影し、動くアバターを作成できる「AR 絵文字」といった機能も搭載されています。
スペック
「Galaxy S9 SC-02K」と「Galaxy S9+ SC-03K」のスペックは以下の通りです。
Galaxy S9 SC-02K | Galaxy S9+ SC-03K | |
---|---|---|
サイズ | 147.7×68.7×8.5mm | 158.1×73.8×8.5mm |
質量 | 163g | 189g |
ディスプレイ | 5.8インチ 18.5:9 Quad HD+:2,960×1,440 | 6.2インチ 18.5:9 Quad HD+:2,960×1,440 |
CPU | Qualcomm SDM845 | |
バッテリー | 3,000mAh | 3,500mAh |
OS | Android 8.0 | |
外部メモリ | microSD/microSDHC/microSDXC(2GB/32GB/400GB) | |
内蔵メモリ | RAM:4GB ROM:64GB | RAM:6GB ROM:64GB |
メインカメラ(外側) | 1,220万画素 | 広角:1,220万画素 標準:1,220万画素 |
フロントカメラ(内側) | 800万画素 | 800万画素 |
本体代金 | 機種変更: 53,136円(2,214円×24回) 一括払い:99,792円 | 機種変更: 64,800円(2,700円×24回) 一括払い:111,456円 |
AQUOS R2 SH-03K
画像引用元:シャープ公式サイト「AQUOS R2」デザイン
2018年5月8日に発売が開始された「AQUOS R2 SH-03K」はシャープ独自の技術であるIGZOディスプレイを搭載し、なめらかな画像が視覚的なストレスを軽減してくれます。
「AQUOS R2 SH-03K」もデュアルカメラを搭載していますが、動画を撮りながら静止画も同時に撮影できるというビデオカメラのような特徴的な仕様も注目です。
高画質カメラと臨場感を重視したサウンドシステム
「AQUOS R2」のデュアルカメラは動画用と静止画用の2つに別れています。動画用は背景まで詳細に写せるように被写界深度を深くし、135度の超広角レンズを搭載しています。
画素数は動画用で1,630万画素、静止画用で2,260万画素とハイスペックモデルの中でも高い画素数を誇っています。
ディスプレイは約6インチ(縦横比19:9)と大画面で、解像度はQHD+(3,040×1,440)、シャープ独自の技術であるIGZOディスプレイを搭載し、応答速度が早く、さらにフレームレートが増えることでなめらかな画面スクロールを可能としています。
サウンドシステムとして、立体音響技術のDolby atmosをサポートしていますので、臨場感たっぷりの視聴が可能となっています。
スペック
「AQUOS R2 SH-03K」のスペックは以下の通りです。
AQUOS R2 SH-03K | |
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サイズ | 約156×74×9mm |
質量 | 約181g |
ディスプレイ | 6.0インチ 縦横比19:9 QHD+:3,040×1,440 トリルミナスディスプレイ for mobile |
CPU | SDM845 2.6GHz(クアッドコア)+1.7GHz(クアッドコア) オクタコア |
バッテリー | 3,130mAh |
OS | Android 8.0 |
外部メモリ | microSD/microSDHC/microSDXC(2GB/32GB/400GB) |
内蔵メモリ | RAM:4GB ROM:64GB |
メインカメラ | 静止画センサー:2,260万画素 動画センサー:1,630万画素 |
フロントカメラ | 1,630万画素 |
本体代金 | 機種変更:49,248円(2,052円×24回) 一括払い:95,904円 |
HUAWEI P20 Pro HW-01K
画像引用元:ドコモ公式オンラインショップ「HUAWEI P20 Pro HW-01K」デザイン
2018年6月15日より発売が開始されている「HUAWEI P20 Pro HW-01K」は世界初のLeica製トリプルカメラを搭載しています。
イメージセンサーをカラーとモノクロに分け、さらにはカラーも望遠と標準に分けた3つのレンズ構成により、高い描写力に加え、ズームしても画質が劣化しない優れたカメラ性能を備えています。
驚きのカメラ性能
標準カメラは4,000万画素のイメージセンサーにF値1.8のレンズを備え、望遠カメラは800万画素のセンサーにF値2.4のレンズ、モノクロカメラでは2,000万画素のセンサーにF値1.6のレンズを備え、暗い場所にも強い仕様となっています。
以上の高いカメラ性能に加え、特筆すべきは撮影時のAIアシストです。「HUAWEI Mate 10 Pro」にも搭載されている機能ですが、カメラと連動するAIが被写体を自動的に認識することで最適な撮影設定を手軽に再現することもできます。
フロントカメラについても、2,400万画素でF値2.0のレンズを搭載し、自分撮りでも明るく高画質な写真を撮ることが可能です。
防水防塵の本体に有機ELディスプレイ
本体が防水防塵仕様となっており、またFelicaにも対応しディスプレイは有機ELディスプレイを採用、約6.1インチの大画面にFHD+の画質で動画の視聴も楽しめます。
スペック
「HUAWEI P20 Pro HW-01K」のスペックは以下の通りです。
HUAWEI P20 Pro HW-01K | |
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サイズ | 約155×74×7.9mm |
質量 | 約180g |
ディスプレイ | 6.1インチ 縦横比18.7:9 FHD+:2,240×1,080 有機ELディスプレイ |
CPU | HUAWEI Kirin 970 2.4GHz(クアッドコア)+1.8GHz(クアッドコア) オクタコア |
バッテリー | 3,900mAh |
OS | Android 8.1 |
外部メモリ | microSD/microSDHC/microSDXC(2GB/32GB/128GB) |
内蔵メモリ | RAM:6GB ROM:128GB |
メインカメラ | カラーセンサー:4,000万画素 モノクロセンサー:2,000万画素 望遠センサー:800万画素 |
フロントカメラ | 2,400万画素 |
本体代金 | 機種変更:57,024円(2,376円×24回) 一括払い:103,680円 |
スマホの高性能化とデータ通信の高速化
従来の4Gと呼んでいたLTE通信サービスは厳密には「3.9G」であり、2015年にスタートした「PREMIUM 4G」によってようやく本当の4G LTEが実現されました。
1Gbpsを超えるデータ受信速度の達成を目前に控えた現在ですが、2020年の5G通信サービスの開始にも大きな期待が寄せられています。
トップ画像引用元:ドコモ公式サイト「PREMIUM 4G」